休日

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約二時間。 洋服店に入っては試着してまた次の店へと繰り返している。ものすごい強引な人で、圧が強くて黙ってされるがままになっている。 そして神田はというと、着いてきてはいるが止めには入ってくれない。小声でどうにかしろよと言ったが、こうなったら何言っても止まらないと言われて放置されている。 「いい……!今までで一番似合ってる!ほら、見なさいよ満!」 神田にじっと見つめられ、急に恥ずかしくなる。 「うん。似合ってる」 ちゃんと見た上でそう言われ、体が硬直する。 なんでこういう時に限って、いつもみたいに雑に言わないんだ。 急に褒められると、変に意識してしまう。 「恥ずかしかったかしら。顔が真っ赤」 「……えっ……も、もう、着替えます!」 「それ似合ってるから買ってあげるからね〜」 試着室のカーテンを閉めてから鏡で確認すると本当に真っ赤になっていた。こんな顔になっているところを神田に見られてしまった。 あーもう!!!くっそ恥ずかしい!!! 最大級の羞恥心に襲われ、赤みが収まるまで試着室から出られなかった。 その後、申し訳ないからと断ったが結局服を買ってもらってしまった。 さすがに疲れた俺は近くにあったベンチに腰を掛け、一息ついていると叶さんが隣に座った。 「ごめんね〜付き合わせちゃって。つい興奮しちゃった」 「いや服も買ってもらっちゃったし、大丈夫です」 いざ二人で話すとなると、何を話せばいいか分からない。だって神田の彼女かもしれないし、嫌でも気にする。 「誉くんだっけ?ありがとうね。満にちゃんと友達がいて安心した」 その発言に少し違和感を感じた。
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