休日

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恥ずかしくなってきて誤魔化すように口を開く。 「いやでも一番は叶さんのおかげなんじゃないですかね!」 「あたし?!なんで?」 「だって!神田の彼女さんだし!」 「え?」 最初は照れたのかと思ったけど、本当にポカンとした顔をするから俺も一緒に動揺してしまった。 彼女じゃないんですかと聞くと、大笑いされてしまった。 ……なんかこのからかわれてる感じどこかで。 「違うわよ。満は弟。彼女じゃなくて姉ちゃん」 ……姉。 この感じは姉弟で似ているからか。 そう聞くと似ている所が多い気もしてくる。 「普通に彼女だと思ってすみません勘違いして……」 「嫌よあんな無愛想なの〜!やっぱほまれくんいじりがいあっておもしろ〜い」 そんな話をしていると、飲み物を持って神田が来た。 「なに盛り上がってんの」 「飲み物買ってきてくれたの?珍しく気が利くじゃない」 無言でりんごジュースを手渡される。 「あ、ありがと」 俺の分まで買ってきてくれたらしい。 叶さんにこき使われてる神田はいつものすかした感じとは違い、弟感があって可愛く見えた。 「今日はありがとうね、ほまれくん」 「色々聞けてよかったです!」 「んーほんと可愛い!あたしほまれくんみたいな男の子。好きだな」 耳元でそう言う辺り、やっぱり似た者姉弟だと思った。しかし、その後追加で耳打ちをされる。 「満のこと好きなんでしょ。案外脈アリかもよ?」 不意打ちで思いもよらない発言を聞かされ、度肝を抜かれた。 「は。なに言われたの?ほまれちゃん」 何も聞こえてなかった神田と目が合い、何も言えずにただ熱くなる耳を押さえていると、お姉さんが神田を引っ張り、連れて帰ってくれた。 見えなくなったところで、頭を整理する。 「俺が。神田を……好き?」 嘘だ。 そんなはずない。 まずあいつも俺も男だし、ムカつくし、今日だって会いたくなかった。そのはずなのに一緒にいると満たされた気分になるのは、そういうことなのか。神田に対する気持ちが分からなくなってしまい、その日は一睡も出来なかった。
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