53人が本棚に入れています
本棚に追加
✜01 気がつけばそこは砂浜だった
「よし、アップロード完了っと」
小さい頃にサンドボックス系のゲームと出会って10年、市場に自分の世界やキャラクターを販売するほどドップリと嵌まっている。いわゆる青春ってヤツ。
通信系の高校1年生だが、中学の時にクラスの幼馴染がイジメられているのを庇ったら、イジメの矛先がこちらに向いてしまい、酷い目にあった。以来、あまり人と接したくない。
本名の創利 改(つくりあらた)から名前を取って、いろんなゲームのなかでアラタで通している。
この数日、1日1時間か2時間くらいしか寝ていないが、どうにかコンテンツをアップロードが終わってホッとした。
やることは終わったので、新しいサンドボックス系のゲームがないか検索をかける。
ん、──インディーズ系か。さきほど公開されたばかりのゲームで購入価格は120円……。
まあクソゲーの予感しかしないが、安くてもたまに掘り出し物もある。食わず嫌いするのもよくないので、購入ボタンを押すとダウンロード画面に切り替わった。
30分……うん、長すぎる。バックグラウンドでダウンロードを進めながら、他にも目ぼしいゲームがないか漁っていたら、急に眠気が襲ってきた。
無理もない。時計の針は朝方4時過ぎを指している。一度寝てからやれば良かったが、まさかダウンロードが30分もかかると思っていなかったから。
最強の眠気が襲ってきた。ダメだ──もう意識が、横に置いてあったコーヒーをゲーム機にこぼしてしまったが、眠気が強すぎてそのまま視界が真っ暗になった。
ここは……。
目が覚めたというか、今、気が付いたというべきか。仰向けで顔にベッタリと砂がついていたので、起き上がる。
砂浜、振り返ると青く澄んだ海と青い空、風は心地よく太陽に当たっているが、とても気持ちがいい……。
──って、そんなのんびりしている場合じゃない!?
知らない場所。
自分の顔をつねる。──痛いので、夢ではない。
記憶を辿ると、自分の部屋でサンドボックス系のゲームをダウンロードしていて、眠ってしまったところまでは覚えている。だが、こんな場所へきた記憶はまったくない。
砂浜から陸地をみると鬱蒼とした森が広がっている。砂浜に沿って見渡しても景色は変わらない。
うーん……んん~~ッ!?
悩みながらキョロキョロしていたら頭の真上になにか浮いているのでメチャクチャびびった。
最初のコメントを投稿しよう!