✜25 ストラテジーモード

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「おまえ達はアラタ様の手の者か?」  湖から離れてすぐの場所……まったく気配に気が付かなかった。背後にいつの間にかラミアが立っていた。それもただのラミアではなく「覚醒」済みの個体なので、1体倒すのも小隊を少なくとも5つは欲しい高難度ダンジョンの階層主(フロアボス)級の相手。  アラタ様? そいつがプレイヤーの名前か。 「それとも冒険者の街の者か?」  なぜわざわざそんなことを聞いてくる? 間違った答えを出した途端、襲い掛かってきそうなので、返事をせずに走ってこの場を去るのが、正解とみた。 (彼奴等(きゃつら)はアラタの敵じゃ、愚か者!) 「うっさいわね! 言われなくてもわかってましたぁー」  頭のなかで声が聞こえた。念話か……こんな芸当をできるのは、サーバーでも最強クラスのボスしか思いつかない……。その念話を受けると、ラミアが急に大声でわめき出した。くそっ戦うしかないか。 「姉さん、そいつらこの島で見たことない種族だね」 「敵なんだからどうでもいいでしょ」 「間違ってたらあの【狂った迷宮主】(マッドダンジョンマスター)に責任を押し付ければいいわ」  おいおい、何体いるんだよ……。  最初から囲まれていた。茂みに潜んでいたラミアが次々とその姿を現す。計8体の覚醒済みのラミア……正直勝てるとは到底思えない。 「あれ? ラミアの皆、なんでこんなところに?」 「アラタ様ぁぁ♪」  アラタ様? ってことはコイツが?  道のない茂みの中から男が顔を出した。見た感じは隙だらけで、警戒する素振りさえない。だが……。 「チャンス、俺が()った!」 「やめろ馬鹿ッ!?」  小隊のひとりが、プレイヤーをキルしようとして、あっさりとプレイヤーの隣にいた虎型の獣人の拳で腹を殴られ、原型が維持できないほどぐちゃぐちゃになって消えた。一撃で強制送還って、まわりのラミアよりヤバすぎだろ?  目の前の男がこのサーバーのプレイヤー。それは間違いない。観察眼スキルを持っている仲間に目で合図をしたが、首を横に振った。ステータスを盗み見できないって、どんだけ精神抵抗値が高いんだよ? (アラタ、其奴らを妾の元へ連れてくるのじゃ)  また頭に直接響く声、プレイヤーは「なんで?」と声の主に聞き返す。 (なに、ちょっと脳みそをイジって目的を暴いてやろうかと思ってのう)  鳥肌が立った。このサーバーはヤバい。なにもかもが、これまでとまったく違う。侵攻が失敗するどころか、自分達のサーバーさえ、危険かもしれない。 「リーダーどうする?」  この場をどうするのか指示を求められた。この小隊のリーダーをやっている俺は振り返って仲間へ伝えた。 「今すぐ帰還しろ!」
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