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✜05 試練
「能力ですか? アラタ様にお任せします」
大量の経験値が入ったので、割り振りポイントというものが増えた。これをステータスに振っていけるみたい。自分は999も創造ポイントが入ったが、シュリには9ポイントしか入っていない。
試しに筋力を1伸ばしてみる。すると割り振りポイントが1減った。結局、筋力、敏捷性、スタミナに3ずつ割り振った。ちなみに幸運が1しかなかったので少し振ろうとしたが、エラーと表示された。原因として考えられるのは呪いを受けているからかもしれない。
続いて、自分のステータスを伸ばす。
低ステに一律10増やした。ただ幸運がステを1増やすのに50ポイントも創造ポイントを消費したので、5だけ伸ばすことにした。創造ポイントは食料や飲み物確保のために必要だし、今後、大量のポイントを使う場面に遭遇するかもしれない。なので少し余裕を持つ。
今まで使っていた葉っぱで包んで腰に巻くのも金貨なので落としたらもったいないので小ぶりの背負うリュックを作った。これぐらいならシュリでも楽々と運べるはず。彼女に背負ってもらい、今後、荷物はその中に収納していくと決めた。
当初の計画通り、川のあるゴブリンの集落へ行き、川で風呂に入る予定。
数日前にこの集落へ訪れた際、管理下においたゴブリンにお願いして膝下くらいの浅いところへ目隠しのある浴場を造るようお願いしていた。不格好ながら頑張ってくれたらしく、それっっぽいのが完成していた。浴場と言っても、足場を掘って石を積み上げで固めて太い木の枝を支柱にしただけの簡単な造り。川の水の流れを遮らない高さのところで横方向に木の枝を這わせ、中を覗けないよう工夫もしてある。まあ壁のすぐ近くでよく見ると中が見えてしまう程度のものだが、なにもないよりはマシ。さっそくシュリに話して彼女から風呂に入ってもらう。
とりあえずシャンプーと石鹸だけをクエリティブで作って、シュリに手渡すと困惑していたので使い方を軽く教えた。
「あ、アラタ様、これは……ひゃ!」
中でいったいなにが起きているんだろう……浴場の中から「ひゃ!」とか「きゅうぅぅん!」など変な声が聞こえる。
ふたりともサッパリしたところで、まだ拠点化しないゴブリンの集落がありそうな場所へ向かう。
「ピッ!」
ピコンが急に肩から羽ばたいて飛び上がると、クルクルと斜め方向の上空で旋回を始めた。
ついてこいって意味かな?
そのまま放置もできないのでピコンがいる方向へ進路を変えると、どんどん先の方へ誘導していく。
なにもない開けた場所へ出た。ちょうど中央のところでピコンが上空から降りると、そこに何もないはずなのに立木で羽を休めるように止まった。
一見、浮いているように見えるピコンの元へ慎重に近づくと透明な「なにか」に触れた。手触りは石みたいなもの。丸みを帯びていて、ベタベタと触っているうちに穴を見つけた。手を伸ばしてその穴のなかへと手を突っ込んでみると奥に丸い輪っかに手が触れたので掴んで引っ張る。
ズズズっと地鳴りが始まり、地面に階段が出現した。
隠しダンジョン……ピコンは再び羽ばたき自分の肩へ乗った。中に入れってことかな?
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