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婚約破棄されたことよりも……!!
「えー……っと……理由は?」
私は汗をダラダラ流しながら、婚約者のスクエアに婚約破棄の理由を聞いた。
こんなの、理由は1つしか思い当たることはない。
「他に好きな人ができた。」
くはっ……やっぱりね。
このゲームで、婚約者が婚約破棄を求める理由なんて、それしかないもの。
でも……変ね、どこでこんなことになってしまったのかしら。
私がヒロインとくっつけようとしたのは、目の前にいる彼スクエアではなく、ノヴァっていう推しキャラのはずなんだけど……
念のために私は彼に聞く。
「あー……そう。お相手は?」
「内緒」
「内緒って……あなたね……」
まぁ、聞かなくても想定はできるけど……いくらなんでもそれは失礼が過ぎるのではなかろうか。
「私情で婚約破棄しようとしてるのよ?わかってる?家同士の問題に亀裂を入れようとしてるのよ!?名前くらい言ったらどうなのよ!」
「……迷惑はかけられない。」
それを聞いて私はプッツンと糸が切れた。
相手のことは気にかけるのに、私と、私の家族のことは気にしないというのかこの男は!!
「話になりませんわ!!」
私は怒りに任せて机を思いっきり叩くという、令嬢に相応しくない振る舞いをして怒りをあらわにした。
無礼にもどがある。
全く……大事な話だというから2人きりで話をしたというのに、こんな話なら両家全員揃えるんだったわ。
しかし、別段好きでもない相手を繋ぎ止めるのもおかしな話。
だから、私は2つ条件を突きつけた。
「そこまでいうならば、そのお話受けて立ちますわ。その代わり、婚約破棄の話は、スクエア様から両家の両親にお一人で説明して説得してくださいまし、私は一切関与致しません。」
「そ……それは!!」
「それと、今日の聖女選定パーティーにだけは、私をエスコートしてください。絶対出席しなきゃいけないパーティーに、あぶれて欠席なんて面目丸潰れですから。それではごきげんよう。」
私はワタワタとしているスクエアを置いて、応接間から出ていった。
そして、その勢いのまま自室へ戻ると庶民の服に着替えて、屋敷を抜け出した。
向かう先は……このゲームのヒロイン、ティアスの元!
全く冗談じゃないわ。
この際、スクエアに婚約破棄されたのはいいわ。
推しヒロインのティアスを追いかけすぎて彼を構わなかったし、ヒロインが関わらなければ、美人の私が捨てられるわけがないと思ってた私にも落ち度はあったわ。
問題は……スクエアがティアスを好きになってしまった疑惑があること!
せっかく推しカプのティアスとノヴァがくっつくように、この世界に転生してきたことを思い出してから働きかけたのに……こんなところで邪魔に横槍入られたら努力が水の泡よ!!
「もし、無事のノヴァルートに向かったなら、今神殿でイベントが発動してるはず……確認しないと!!」
私は走って神殿まで向かうのだった。
「お願い……ノヴァルートのイベントよ発生していて!!」
そう祈りながら。
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