2.海

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「ハハッ!里香が良いなら、うちが翔琉くん貰うけど〜?」 「駄目、由美は尻軽いから許さん」 「まじウケる!!!里香のブラコンっ」 「ブラコンじゃない~~~っっっ!!!!」 「ハハハッッッ!!!」 「こらっ、行儀悪いから座りなさいっ…!ちょっ、食器倒れる!危ないから…!!!」 ……本当に、賑やかだなぁ。 私の周りに女の人が多いのも初めてだし、誰かのご両親と一緒に夕飯を食べたのも久し振りだ。 つい顔が緩んで、箸で摘んだおかずを口に運ぶ。私が気を遣って喋らなくても良い空間で、喧嘩になったって私が仲裁をしなくて良い。くだらない口喧嘩は起こらない。私に嫌な事をしてくる人は、此処には居ない。 けど、 『ハルなんか好きにすれば良いと思う』 『流石にハルちんが悪い』 『夏休み、やたら俺等のこと避けてんのと関係あんの?』 『じゃあまたねっ、ハルちゃん』 『今回はアイツ等に同意するわ。お前周り見えてねえし、もうちょっと俺の気持ち考えろ』 胸の中にポッカリと大きな穴が開いてるみたいで、楽しいと満たされる気持ちがその穴からポタポタと落ちて、全く満たされない感覚だけが残った。 ────
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