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夕方、
人が散り散りになってきた頃、店仕舞いを始める。
恐らくテントの片付けを一切手伝ってない彼等が手ぶらで海の家にやってきて、榊さんの苦労に頭が痛くなる思いだった。
「ハールちゃんっ、バイト終わった?」
「もう少し。5時までなので」
「そっかぁ。花音達そろそろ帰ろっかって話してたんだけど、ハルちゃんは今日も親戚のお家泊まるの?」
「いや、今日から暫く翔琉さんの家で下宿です」
……
「……翔琉、さん……?下宿って何っ?」
「翔琉さんはさっき言ってたバイトの先輩で、バイト中は翔琉さんの家で下宿させて貰う事になってます」
「「「え!!!????」」」
……な、なんだ?
花音と蓮と愁は目をくりくりに見開いて固まってるし、千冬と伊澄まで眉根を寄せて私を見ている。
そんな大きい声を出す事じゃ無いでしょ。夏の農家のバイトとか牧場の仕事だって泊まり込みは良くあるし。…あ、この人たちバイトしたこと無いから分からないのか。
半裸のままの蓮を見て"そうだ"と思い出し、Tシャツを脱ぐ。
「これありがとうございました。洗って返した方が良いと思うけど、帰るとき服ないと困りますよね。……待って、…ちょっと待って下さい。汗臭いかも…」
蓮に借りてたTシャツに恐る恐る鼻を寄せてすんっと匂いを嗅いでみる。一日中汗を吹き出しながら走り回ってたから、結構ヤバイかも。
すんすんすんすん嗅ぐ私の目の前に愁が来て、Tシャツに鼻を埋めたまま視線を上げたらニッコリ笑う愁に肩を掴まれた。
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