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出していたスマホをポケットに仕舞い、焦った感じでハハハハと笑う女の子達。彼女達の頬は赤らんでるのに男子の顔は青白く血の気が引いていて、「どうしたの?」と聞いたら血眼で"ツッコむな!!!"と、何も言わずぶんぶん首を横に振られた。
……ぶんぶん、じゃなくて。
どうしていきなり、顔から血が無くなってんの。
それは良いとして肩が重い。あの日から、愁と色々あった翌日から、私の日常は少しばかり変わった。その要因の一つにこの男の存在がある。
あの日を境に、この男は私の部屋に泊まりにくるものの一切手を出さなくなった。代わりにこう近づいて来てはベタベタベタベタ、まるで赤ちゃん返りした大きな子供を世話してるみたいに接触してくる。
今だって肩に顎を乗っけた男の額を「離れろ」と手のひらで押したって離れる事はなく、寧ろ身体に回された腕に力が籠った。残り少ないマヨネーズを絞るようにぎゅうぎゅう抱き締められる。…おい、痛い。
「……千冬、ホント良い加減にして下さい。この前から何なんですか」
「別に良くね?こんくらい」
「良くない。てか何しに来たの?」
「お前呼びに来た。じゃんけんで勝ったんで」
得意気にニッと笑って、グーにした手を見せられる。
グーで勝ったって、言いたいんだろう。
今から人を殴りに行きます、にしか見えないが。
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