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 燦燦(さんさん)と降り注ぐ太陽が祝福するかのように彼女を照らし出す。ちょうど木の影に立っている僕にそれが当たることはない。  けど、それでいい。 「だから僕はあなたの陰でパソコンでも叩いておこうかと思います」  彼女の髪をなびかせた風が、僕の頬を撫でて走り去っていく。  そのことを誇らしく感じるのはおかしなことだろうか。 「君ははっきりしてるね」 「ええ。それに割りを食ったぶん取り返さなきゃいけないですし」 「私の過去三年分じゃ足りなかったかい」 「全然足りてないですね。僕の最後の青春を捧げたんですから」 「じゃあ他に何がほしいのかな?」 「僕があんなに苦労して会長を消した理由なんてひとつだけですよ」    彼女がこちらを見て、僕はその目を見つめ返した。  この気持ちは恋か、尊敬か、偏見か。  もしくはそのどれもが混在する星空のような感情なのかもしれない。まあなんだっていいか。   キラキラと光り輝く彼女をずっと見ていたいと思うことに変わりはない。 「あなたの過去も未来も独り占めです」  僕が告げると彼女は苦笑した。  そんな表情すら眩しく光って、僕は目を細める。 「君は本当に私のことが好きだねえ」  呟いた彼女は柵から身を離して真っ白な建物へと歩みを進める。  そして数歩進んだ先で、彼女は振り返った。  どこまでも広がる青空の下でふたつの丸い宇宙が僕を見据える。 「今日は旅立ちにはもってこいの天気だね」  煌めく笑みに手を引かれるかのように僕の身体がふわりと柵から離れる。  そのまま一歩前に出て、日向に足を踏み入れた。 (了)
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