【プロット】国会議事堂にやってきた好戦的なマジシャン。

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 手の中で物を消し、握った物がまるで形を帯びるようにまた出てくる。  ある時は人間そ真っ二つにして見せ、元通りになって現れる。  洗練された手技と、長年んオ研究によってあらゆる魔術を究めた如月は、国会議事堂の前に立っていた。  すでに陽が沈みかけ、西陽が頬を眩しく照らし影を濃くする。  毎朝研いでいる爪が鈍く光り、胸ポケットから覗いたサテン地の赤い布が燃えるように輝いていた。  おもむろに布を抜き取ると、両手で摘まんで広げた。  人間は鮮やかなマジックを前に無力になる。  常識を見落とし、虚像を見るのだ。  政治家はどうだろう。  洗練された技術もなく、口だけで人を煙に巻き世の中を混乱させているのではないか。  人間を思いのままに動かすなど、マジシャンにとってはたやすい。  そう思うからこそ、国を動かしてみたくなったのだ。  あくまでマジシャンとして、日本を奇術にかける。  男は布をひらりとかざすと、正面からズカズカと乗り込んでいった。
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