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結論からいうと入学式は無事に終わった。荻が新入生代表のスピーチを行い、入学式から教室への移動時間に担任の先生、及び鳶尾の両親に連絡、鳶尾は入学初日に留学扱いとなった。
誰が見てもわかる特別待遇には理由がある。まず、鳶尾は日本を代表する大企業の跡取りだ。
昔は財閥として栄えていたが歴史のなかで解体され、残されたのが鳶尾の一族が経営する企業。その一族の子孫が鳶尾になる。
佐々木鳶尾。それが幼馴染であり、荻が生まれる前から仕えることが決まっていた主人だ。
荻の家は代々鳶尾の家に仕えてきた一族だ。荻の祖父母はもちろん両親も鳶尾の企業で働いている。当然、荻も大学を卒業したら企業に就職することが決まっていた。
これは決定事項であり、そのことに荻が疑問をもったことはない。荻は両親の働く姿に憧れ、早く社会人として働きたいと思っている。
でもその為の最低条件が大学を卒業すること。日本では飛び級はないから地道に学生生活を過ごすしかないのがもどかしかった。
鳶尾の両親には鳶尾の世話を頼まれていたのに、それすら叶わない。
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