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と、父親が荻に話を促す。荻の母親は学生の頃から人脈をつくり、情報に精通していたと聞く。だからその母親が断言するなら怪談は親の世代にはなかったと言うことになる。
「学校の屋上に幽霊が出るって話。屋上までの階段にもフェンスがあってお札も貼られているんだ」
「へぇ……それはなにかありそうだな」
ありそうもなにも、怪談の本人からの依頼だとは、さすがの荻も言えなかった。
「ちなみにどこの校舎なの?」
「旧校舎だよ。俺の教室もそこ」
「懐かしいわぁ……そこ、母さん達も使っていた校舎なのよ。私達が学生の頃は昼休みや放課後に自由に出入りできてたのよねぇ」
母親はカップを手に、懐かしそうに目を細める。ということは、怪談ができたのは親の世代が卒業したあとになる。
調べる範囲を絞ることができれば、まだ調べようがあるかもしれない。その時ふと、荻は牡丹から聞いた話を思い出した。
「ねぇ、母さん達が学生の頃ってギャル文字とか流行ってた?」
「よく知ってるわね。懐かしいわ。あ、待ってて。いいもの見せてあげる」
母親はそういうと自室からなにかを持ってきた。手のひらサイズの機械はどこかで見覚えがある。
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