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いっそのこと鳶尾を追いかけて自分も海外へ行こうかとも考えた。が、鳶尾の両親には自分の人生を大事にして欲しいと言われればそれもできない。
荻は退屈な学生生活を送ることは、短い人生において無駄なことだと思っている。鳶尾の世話があったから仕方がなくこの高校を選んだのだ。
始めからわかっていれば留学を選んでいた。
「あーめんどくさい……学校とかどうでもいい……」
荻は錆びたフェンスにもたれかかる。錆びがつかないように紺色のハンカチをフェンスに掛けるのを忘れない。
小学生の頃、鳶尾は気になるとどんな場所でも行くし触れるからいつも服が汚れていた。少しでも汚れないように前もって対策をする為にハンカチを常備するようになった。
そのハンカチを使う相手はもうここにはいない。体重を掛け過ぎればフェンスの柱は折れてしまいそうなほど年季が入っていた。
「俺、なんの為にここにいるんだろ」
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