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『チューし隊』は不滅よ
『チィッ、実はね。メロン。メンバーの他の二人が大手事務所に引っこ抜かれたのよ』
電話の向こうで姫乃樹アリスが悔しそうに舌打ちをした。
「え、マジで?」
すぐさま首領(中身はメロン)が応えた。
『ええェッ、だから今回の地下ライブは『チューし隊』に取ってもウチの事務所に取っても正念場なの。メロンだけが頼りなのよ』
「ううゥン、わかった。このメロン(見た目は首領)ちゃんさえいれば『チューし隊』は不滅よ」
メロン(首領)は拳を握りしめた。ひとりで盛り上がっているようだ。
「ぬううゥ……」
首領(中身はメロン)は唸って困惑ぎみだ。
「良いこと。今からあなたがメロンちゃんだから。私はベガちゃんね」
首領の格好をしたメロンが命じた。
「えェッ、ベガちゃんッて、マジで?」
メロン(中身は首領のベガ)はイヤそうに眉をひそめた。
「取り敢えず、私とポチでバックダンサーをするからメロンは音源に合わせて口パクで歌って」
「え、我輩が口パクだとォ?」
「そうよォ。ぶっつけ本番よ。一世一代のライブの幕が開くのよ」
ウズウズして首領(中身はメロン)は昂奮を抑えられない。今にも踊りだしそうだ。
だが運転手の側近、星優真も不安で仕方がない。
こうして悪の秘密結社『ギルディア』の世界征服への第一歩が記されることとなった。
めでたしめでたし(どこが(笑))
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