『チューし隊』は不滅よ

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ

『チューし隊』は不滅よ

『チィッ、実はね。メロン。メンバーの他の二人が大手事務所に引っこ抜かれたのよ』  電話の向こうで姫乃樹アリスが悔しそうに舌打ちをした。 「え、マジで?」  すぐさま首領(中身はメロン)が応えた。 『ええェッ、だから今回の地下ライブは『チューし隊』に取ってもウチの事務所に取っても正念場なの。メロンだけが頼りなのよ』 「ううゥン、わかった。このメロン(見た目は首領)ちゃんさえいれば『チューし隊』は不滅よ」  メロン(首領)は拳を握りしめた。ひとりで盛り上がっているようだ。 「ぬううゥ……」  首領(中身はメロン)は唸って困惑ぎみだ。 「良いこと。今からあなたがメロンちゃんだから。私はベガちゃんね」  首領の格好をしたメロンが命じた。 「えェッ、ベガちゃんッて、マジで?」  メロン(中身は首領のベガ)はイヤそうに眉をひそめた。 「取り敢えず、私とポチでバックダンサーをするからメロンは音源に合わせて口パクで歌って」 「え、我輩が口パクだとォ?」 「そうよォ。ぶっつけ本番よ。一世一代のライブの幕が開くのよ」  ウズウズして首領(中身はメロン)は昂奮を抑えられない。今にも踊りだしそうだ。  だが運転手の側近、星優真(ホシゆうま)も不安で仕方がない。  こうして悪の秘密結社『ギルディア』の世界征服への第一歩が記されることとなった。  めでたしめでたし(どこが(笑))  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!