ねえェ、絶対に秘密よ

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ねえェ、絶対に秘密よ

「ねえェ、絶対に秘密よ」  (いか)つい顔をした首領(中身はアイドルの蒼井メロン)が(なげ)くように美少女アイドルへ頭を下げ頼んだ。  鬼のような(コワ)モテに似合わず、ギャル風な口調だ。 「当たり前じゃァ。ぶっちゃけ、こんなコト、恥ずかしくて他人(ひと)に言えるかァーーーー!」  美少女(中身は首領のベガ)はブチ切れたように(あた)り構わず(わめ)き散らした。幸い邸内なので他人に聞かれる心配はない。悪の秘密結社の基地としても使われるので防音設備は万全だ。 「くゥ……」  首領のベガ(中身はメロン)は呻き声をあげ頭を抱え込んだ。  はじめに断っておく必要があるだろう。  信じられないかもしれないが、悪の秘密結社『ギルディア』の首領のベガと、売れない地下アイドルの蒼井メロンは先ほど屋外で落雷の直撃に遭い、人格が入れ替わってしまったのだ。  つまり(コワ)モテの首領のベガの中身はアイドルのメロンで、インディーズ・アイドル 蒼井メロンの心は首領のベガのモノだった。  不意に雨雲に覆われた天空でまばゆい閃光が走った。 『ゴロゴロォーーーーッ!』  なにかを予感させるように轟音(ごうおん)を立てて雷鳴が(とどろ)いた。
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