入れ替わっちゃった

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入れ替わっちゃった

 ここは悪の秘密結社『ギルディア』の首領ベガの屋敷だ。  見るものを圧倒するほど、巨大で要塞みたいな豪邸と言って良いだろう。  不意に閃光が走って地鳴りのような雷鳴が轟いた。  ゲリラ豪雨なのだろうか。台風さながらの集中豪雨だ。  相変わらず屋外では音を立てて激しい雷雨が降り注いでいた。時折り雷鳴が轟いた。  まだ昼過ぎだと言うのに空は黒々(くろぐろ)と垂れ込めた雨雲に覆われて真っ暗だ。あいにくの悪天候と言って良いだろう。  また閃光が走り、轟音みたいな雷鳴が響いた。 「キャァーーーーッ」  (いか)つい顔の首領ベガ(中身はメロン)が耳を塞ぎ、女の子のような悲鳴を上げた。もちろん首領のベガが発したので野太く渋い絶叫だ。  先ほどアイドルのメロンは足を滑らせて転びそうになった。そこへ手を差し伸べ助けたのが首領のベガだったのだ。  美少女と首領のベガは偶然、屋外で抱き合って折り重なるような態勢になった。  その瞬間、二人は落雷に遭ってしまったのだ。感電死してもおかしくなかった。  しかし奇跡的に二人とも命は助かり大きな怪我も負わなかった。  けれども信じられないことだが、落雷の衝撃でのだ。  気づくと二人は悪の秘密結社ギルディアの屋敷の中にいた。  すでにその時は、首領と美少女アイドルの人格が転移していたのだろう。  ようやく落ち着きを取り戻し、もう一度、二人は人格が入れ替わるように(ため)した。  抱き合って邸内の階段から転げ落ちたりもした。けれどもどんなに危険なコトをしても二度と奇跡は起きなかった。  幾度となく人格転移を(こころ)みたがどうやっても元通りにならない。  最終的にはもう一度、雷に撃たれると言う選択肢も考えたが、さすがにリスクが大きい。今度は死ぬ可能性もあった。  仕方なく首領は美少女の格好のまま屋敷の寝室へベガ(中身はメロン)を招き入れた。  そこで美少女のメロン(中身は首領のベガ)は相手の(いか)つい顔のベガ(メロン)に向かって激しくクレームをつけた。    
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