我輩は首領のベガ様じゃァ

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我輩は首領のベガ様じゃァ

「どうするんじゃァ。こんな華奢(きゃしゃ)でチャラチャラしたカッコで」  美少女は大げさなジェスチャーをして辺り構わず喚き散らした。アイドルみたいにヒラヒラとしたミニスカート姿だ。 「知らないわよ。私だってこんなオッサン臭いの勘弁してほしいわァ」  厳つい顔の首領のベガ(中身はメロン)も今にも泣きそうな顔で嘆いた。こちらは黒い甲冑みたいな装備だ。 「ぬうゥッ誰がオッサン臭いんじゃァ。どうするんじゃ。こんな今にも折れそうな身体と入れ替わって、世界征服など出来るかァ!」  見た目は可愛らしいのに発言はガサツで乱暴だ。とてもではないが、美少女アイドルが喚くような言葉とは思えない。 「はァッ世界征服ですってェ……?」  首領の格好をした美少女アイドルは驚きのあまり愕然(がくぜん)とした。  ただでさえ見知らぬオッサンと人格が入れ替わって驚きを隠せないでいた。  その相手が、よりにもよって世界征服を(たくら)む秘密結社の首領のベガだと言うのだ。  心底ツイてない気分だ。 「そうじゃァ。我輩こそ誰あろう。世界征服を(たくら)む悪の秘密結社『ギルディア』の首領。その名もベガ様なのじゃァ」  美少女(中身は首領のベガ)は派手な見得を切って自己紹介をした。  可愛らしいアイドルみたいな格好なので、(はた)から見ると違和感が満載だ。 「えッヤダァ〜。悪の秘密結社の首領って。マジでェ!」  一方、こちらも首領のような姿をしているが、コギャルみたいな反応だ。  
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