0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「絶対に秘密ね! あなたが私の『オリキャラ』だってことは!」
私、聖 詩は某企業に勤務する30↑女。
恵まれた職場、楽しい友人達、大好きな優しい家族。
‥‥‥そして、大切な男友達たち。
不満はない、今だって充分に満たされ幸せなんだと思っていた。
高校生の時に初めて付き合った恋人が深く自分を愛し執着、別れたあとにストーカーになってしまったことで、その後どんなに自分を愛してくれる人と恋に落ちても【彼もあの人のようになってしまうのではないか】という不安が付きまとい、私は[一人の人間と一途に愛し合う]恋を諦めていた。
二歳年下の幼馴染み、こんな自分を理解してくれる年上の友人、高校時代からずっと密かに想い合ってきた親友……。自分を女性として求めてくれる彼ら。
私は彼らと友達以上の……形容しがたい関係の交際を続けてきた。
こんな自分は決してこの先も幸せになれない、彼らにも申し訳ないと知りながら。
そんな私が唯一、自分の【現状】を忘れ、心から楽しめること、
それは「ウタ」というペンネームで自身の考えた創作作品に登場するキャラクター……オリキャラの『夢魔くん』を創作交流サイトのブログでお披露目すること。
そんなある日、半同棲している年上の友人に「お前はこのままでいいと思う?」と問われ、今まで何をしてもこんな自分を理解し許してくれた相手だけに私はただただ、今さらなんでそんなことを言うのかと相手を責め逃げるように部屋を飛び出してしまった。
目を背けてきたことが自身の上に伸し掛かる。
(めんどくさい……、このままじゃダメなのは分かってる。こんなの誰も……私だって幸せになれない。……私だって誰かをちゃんとまた愛して幸せになりたい。幸せになりたいよっ!!)
「じゃ、ウタたん! ボクといっしょにシアワセになっちゃおっかー?」
そんな私の目の前に突如として現れたのは自身のオリキャラ……「夢魔くん」。
自分のキャラが現実に!? という喜びよりも驚きや戸惑いが勝ってしまい狼狽える私。
頭には角、背中には翼の生えた少年に現実世界の人間達は騒然とし、世間は私と「夢魔」を追いかけるし、 孫が出来たようだと喜ぶ両親に、破廉恥姿な美少年の登場に困惑気味な男友達達……。
オリキャラが言うようにははたして『幸せ』を見つけられるのか。
そしてオリキャラ「夢魔くん」は何故現実世界に現れたのか。
今、まさかの夢小説!? 夢魔だけに!? なストーリーが幕開けしたのだった。
・
・
・
最初のコメントを投稿しよう!