230人が本棚に入れています
本棚に追加
あら大変。飲ませすぎちゃったわ。
隆二に怒られちゃうじゃな〜い。
「ほら茉莉花、帰るわよ。隆二来たわよ」
『あ〜隆二さん…』
隆二にもたれかかって羨ましいじゃない!
アタシだって…
「あ〜ん、隆二。アタシも酔っ払っちゃた〜。朝まで介抱して〜」
ってまぁ蹴り倒されたけど。そんな冷たい目も素敵だわ〜。
「…世話かけたな」
「ホントよぉ。だからアタシの介抱も…やあねぁそんな怖い目で見ないでよぉ。いいわよ、これから彼のところに行くから。ほらこれ、茉莉花の荷物」
「…あぁ」
隙あり〜って隆二に抱きついて、光のごとく離れて2人を見送って今、アタシの目の前には幼馴染の女がいる。
「何よ、数年ぶりに連絡してきたと思ったら急に話がしたいだなんて。立ち話もなんだからこっちいらっしゃい」
さっきまで茉莉花といた店に舞い戻り、初めて間近で出会うだろうアタシの仲間たちに圧倒されながら座る彼女をじっと見つめた。
アタシの仲間たちは興味深々。でも心を開いて彼女を受け入れる。
「それで?」
「あのね、今度結婚することになって…」
「あーら、それはおめでとう。もしかしてさっきの男とかしら?」
ビンゴ。聞けば、今も地元に暮らして、今日は旅行でこっちにきてるって。すごい偶然もあるものね。そんな時にアタシに会うなんて。
「んまー、アンタちょっと趣味悪いわよ。ま、幸せなら言うことないけど。話ってそれだけ?」
「あの…、あのね、あの時のことヒデキチに謝らないといけないとずっと思ってて…」
なによ今更。
「別にいいわよ。謝ってもらいたいなんて思ってないから。アタシ、今すっごく充実してるの。だからあのタイミングで知れ渡って良かったって思ってる。……感謝してるわ」
「…ごめんなさい」
「やだ、やめてよ。これから結婚するって女がなんて顔してるの。あー嫌だ。辛気臭い。もっとハッピーオーラを振り撒きなさいよ」
「うん、そうだね。ありがとう…ごめんなさい」
それから彼女は今に至るまでの生活をかいつまんで説明してくれた。
「ねぇヒデキチ」
「何よ。てゆーか、ヒデキチって言うんじゃないわよ」
「女の幸せって何だろうね」
「そんなもんアタシに聞いてどうすんの。知らないわよ、女の幸せなんて」
最初のコメントを投稿しよう!