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そもそも“女の幸せ”なんて誰が作った言葉なの?言いくるめられてるようにしか感じないわ。
一体誰軸の話?
「アタシはね、“アタシの幸せ”のために生きてるの。女の幸せなんて訳のわからない小さな括りのことなんて知らないわよ」
「それは…ヒデキチは女じゃないから…」
「アンタ…しれっとひどい事…」
『うるさい。お黙り』
アタシと彼女の間に強引に割って入り、よくわからない言葉使いで相手を睨んでいるのは、さっき隆二に連れられ帰った茉莉花。
「ちょっとアンタ、何してんのよ。隆二は?」
『忘れ物したから取りに戻ってきたの。てゆーかアナタ。さっきからネチネチネチネチ女の幸せか何か知らないけど、そんなの自分で考えなさいよ。それに、ヒデちゃんのこと傷つけたら許さないんだから』
美人が怒るとどうしてこう…顔に迫力がでるのかしら。あー恐ろしいわね。ただ…
「アンタもぎゃぎゃーうるさいわよ。まったく全然酔いが醒めてないじゃない」
『女とか男とかそんな枠組みでしか話ができないなんて可哀想。個人の魅力に気がつけない勿体無い人』
「…ヒデキチ、なにこの女。誰だか知らないけどっ」
「はーいはいはい、おやめなさいおブスども。このコは茉莉花。アタシの大事なコよ」
「…私より?」
一体何を言ってるのかしら?
『図々しいっ!いつまでもヒデちゃんが自分の1番だなんて思わないで。幼馴染だか何だか知らないけど、今となっては幻。ヒデちゃんにあなたは勿体無い!』
「…あっはっはっはっは。言うじゃな〜い?でもありがと。ま、そういうことよ。ほら、もうお帰りなさい。これから結婚する女が朝帰りなんてよくないわ」
「言われなくてももう帰る。気分悪い」
彼女をタクシーに乗せ、テールランプを見送る。
『ヒデちゃんたら優しいんだ。わざわざタクシーまで呼んであげちゃうんだもん』
「だって帰りに何かあっても困るじゃない?あの子、この辺り慣れてないんだから。ってアンタは何て顔してんの」
思いっきり舌出して“あっかんべー”
『だってヒデちゃんのこといじめたじゃない。塩でも撒いておこ』
「…アンタ…隆二の女のくせして面白いわね」
『隆二さんの女って……羨ましい?』
「はぁ?!何当たり前のこと言ってくれちゃってんの!はームカつくわ!小娘に向かって一瞬でも“ありがとう”とか思っちゃったアタシがバカだった」
『ふふふ』
「何笑ってるのよ、気持ち悪い。ほら、隆二が待ってるわよ」
アタシも行かなくちゃ。
情熱を持って進める道に、これからも。
THIS IS YOUR LIFE.
おわり
2024.03.10
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