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今まで出会った男たちなんて比じゃなかった。
憂いがかったセクシーさがあって、怖いくらい美しかった。
初めて男を美しいって思ったわ。
そんな男が無表情に床に転がるガキを見下ろしてんのよ。一言も喋らないのに、迫力に圧倒された。
『え…隆二さん?高校生の隆二さんってこと…!?』
「そうよ〜。どうしてあんな田舎に隆二がいたのか分からないけど、あれはお爺様かしら。どことなく雰囲気の似てるとってもダンディーなオジ様といたのよ」
『ご家族で旅行中だったとか』
「う〜ん、そんな感じには見えなかったけど。ま、いいわ。とにかくアタシと隆二は四国の小さな港町で出会ったのよ」
『ヒデちゃん四国出身だったの。東京のど真ん中出身って感じなのに』
「あら、イケてるってこと?アンタよく分かってるじゃない。ほら、飲みなさ〜い」
それでね、隆二は出ていった。その後、オジ様がやれやれといった感じでアタシたちに近づいてきたの。
“ごめんね、ここは僕に奢らせてね。それと、男らしさ、女らしさって何だと思う?僕も長く生きてるけど、まだ分からない。ということは、決まりがないってこと。若者よ、もっと広い視点で個人をみてごらん。そしたら少しは答えがでるかもね“
「撃ち抜かれたわ」
『…それは隆二さんじゃなくて、オジ様に撃ち抜かれたっていう…』
「お黙り小娘!この話には続きがあるのよ。黙ってお聞きなさい」
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