THIS IS YOUR LIFE.

7/13

217人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
アタシ、2人を探したわ。お礼を言いたかったし、話を聞いて欲しかった。 だけど、地元の人間なのか観光客なのか分からないじゃない。片っ端から聞いて回ったのよ。 あれだけオーラのある2人だもの、みんな振り返って覚えてるわ。 だけどそう簡単に見つからなかった。 アタシの地元には夕陽がとってもきれいな景勝地があるんだけど、夜になるとひっそりして、それはそれでいいのよ。 もしかしたらそこにいるんじゃないかって、なんとなく胸が苦しくなって、行ってみたの。 そしたらビンゴ!隆二がいたのよー! 『そんな暗闇で…』 「失礼ね。電灯くらいあるわよ。だけどその日は月が明るくて。今でもはっきりと覚えてる。月明かりに照らされてタバコを吸ってた隆二のこと。んもぉ、痺れるほどかっこよかったんだからぁ」 アタシ、近くの自販機で缶ジュースを買って、殴られるんじゃないかってドキドキしながら差し出したの。隆二ったら、アタシのこと上から下まで舐めるように見て、その後ジュースを見て笑ったの。 “…いちごミルク…” だって甘くて好きだったのよ。美味しいから飲んで欲しかったの。でも受け取ってもらえなかった。 アタシ諦めなかったわ。帰れとも言われてないから、強引に隣に座ったの。いちごミルクは隆二の目の前に置いてね。 彼が何も言わないのをいいことに、アタシ、身の上話をしたの。自分の身に起こったこともスラスラ言えた。メイクが好きだってことも。 そしたら彼、“ふ〜ん”ですって。別に特別なことじゃない、至って普通の“ふ〜ん”だった。 今なら分かるわよね。隆二の周りには色々な過去を背負った人がいて、アタシみたいなのは特別な存在じゃなくて、普通のこと。 “俺っておかしい?“ ”…俺に何て言ってほしい?“ ”ありのまま。気持ち悪いって思う?“ ”…別に。個人の自由。他人がとやかく言うことじゃない“ そうよね。これがアタシだもの。誰のためでもなくて、アタシはアタシのために存在してるんだから。 ”…ただ“ ”え?“ ”…言われたくないならトップ取れ。誰にも何も言わせないくらい圧倒的に“ ”トップって…何ができるのか…“ ”…あるだろ、好きなこと。好きなら極めろ“ メイクのこと言ってるんだと思った。他人に誇れるほど真剣に打ち込んだものは、自信になる。自己肯定感も爆上がりよ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

217人が本棚に入れています
本棚に追加