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血の繋がらない姉二人や継母と一緒に暮らすシルヴェーヌは、彼女たちから虐められる毎日です。まるで召使いみたいに家事を全て押し付けられ、着ている服もみすぼらしいものばかりでした。
お城で舞踏会が開かれることになり、近隣の若い娘たちはなるべく出席するようにというお触れが出されても、シルヴェーヌは行かせてもらえません。お城へ行くのは姉二人と継母だけで、シルヴェーヌは留守番です。
舞踏会の夜、家で一人で泣いているシルヴェーヌの前に、偉大な魔導士が現れました。魔導士は台所の野菜を馬車に、テーブルクロスを立派なドレスに、ガラスの食器をキラキラ輝く靴に変えると、それらをシルヴェーヌに与えて、舞踏会へ行くよう告げます。
ただし魔導士は、ひとつ重要な注意も与えました。真夜中を示すお城の鐘が鳴り終わると魔法は解けてしまうから、それまでに帰らねばならないのです。
こうして舞踏会に出席できたシルヴェーヌは、魔法によって本来の美貌もいっそう美しくなったらしく、皆の注目の的となりました。お城の王子様にも見染められ、二人は楽しく踊り続けますが……。
やがて真夜中となり、それを示す鐘が鳴り始めました。
王子様の手を振り解いて、シルヴェーヌは慌てて駆け出します。かろうじて魔法が解ける前にお城を出ることには成功したけれど、靴が片方、脱げてしまいました。
シルヴェーヌの足から離れた靴は、魔導士がかけた魔法が解けることもなく、ガラスの靴という状態のままでした。それを彼女の忘れ物として、いつかシルヴェーヌが取りに戻るかもしれないと考えた王子様は、いつまでも大切に保管したそうです。
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