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沢渡さんの息子さんである純くんが、下村さんに続いてリビングに現れた。
……綺麗な顔。
私の彼の第一印象はこうだった。沢渡さんがハンサムなだけあり、純くんもイケメンだった。そしてお父さんに似ていた。
純くんは眠そうな顔で私を見つめるとハッとなった。
「え?この子は…?」
「話しただろう。友杏さんだ」
「この子?だって父さん凄く勉強の出来る子だって言ってなかった?」
「そうだ。それが何だ?」
「いや…俺、てっきりガリ勉タイプの…引っ詰め髪で牛乳瓶の底みたいな眼鏡を掛けた女の子か来るかと…」
「何を言ってるんだ」
沢渡さんは純くんの言い草に呆れた顔をし、私と所長さんも呆気に取られた。
そして純くんは再び私と目が合うと顔が赤くなった。
「ご、ごめん、俺、ちょっと顔洗ってきます…呼ばれるまで寝てたから…」
純くんは回れ右をするとリビングから出て行った。確かに後ろの髪の毛が少しハネていた。
「申し訳ない。マイペースな子で…」
沢渡さんがバツの悪そうな顔をした。
「いえ、沢渡さんに顔が似てます。さすが親子ですね」
私は思わずそんなことを言ってしまった。
「そうかな。自分ではよくわからないが」
沢渡さんは少し照れくさそうな声色になった。
純くんを待っている間に、下村さんがお茶を運んでくれた。
「どうぞ。飲んでてください」沢渡さんが声を掛けた。
「ありがとうございます。いただきます」
素敵なティーカップ…
入れてくださった紅茶も美味しかった。
ややあって純くんが来た。髪の毛がきちんとセットされてて私は思わず笑みがこぼれそうになった。
「一人息子の純だ。こちら真宮友杏さんと彼女のお母さんの勤め先の所長さんだ」
沢渡さんが紹介してくれた。
「こんにちは。初めまして」
「こんにちは」
「どうも」純くんはペコリと頭を下げた。
「純も座りなさい」
「はい」
純くんも私の目の前にあるソファに座った。
私も男子高校生をこんなに近くで見るのは久し振りの上に、彼がイケメンだったので、内心ドキマギしてしまったのだった。
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