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新生活開始
次の朝、私はアラーム通りに起きて身支度を済ませると、キッチンに向かい朝食作りを始めた。
メニューはトースト、サラダ、ベーコンと卵のスクランブルエッグ、ヨーグルトにした。
七時半にジャージ姿と純くんが眠そうな顔で降りてきた。
「おはよう」
「おはよ」
純くんはテーブルの上に並べた朝ご飯に気が付いた。
「わ、うまそう…」
「そ、そんな大した物じゃないよ」
「いや、俺、朝ご飯自体食べるの小学校以来だから」
そうなんだ。お母さんと離婚したっておじさんが言ってたけど最近ではないのかな…
それはさすがに聞けなかった。
「あの、純くん、コーヒーの淹れ方わかる?私、コーヒーメーカーを使ったことなくて教えて欲しいな」
「わかった。じゃ、こっち来て」
純くんがキッチンにある戸棚に私を呼ぶとジロジロとこっちを見た。
「どうかした?」
「友杏ちゃんエプロン付けてるんだ」
「これ、高校の家庭科で作ったの」
「へぇ~俺の高校の裁縫は手縫いの小物ぐらいだったよ」
純くんは私のエプロンの裾をペラっと捲って持ち上げた。
「縫い方も綺麗だな。家庭科も得意なんだ」
「エプロンは小学校でも縫うし、そんな大したことないよ」
「小学校で作ったっけ?忘れたな」
純くんは笑顔で私を見た。
てか、純くん顔が近いよ。朝からイケメンに見つめられるのは耐性がないんですけど…
「あ、あの、純くんコーヒーの作り方…」
「あ、そうだった。ゴメン」純くんは私のエプロンの裾を慌てて放した。
純くんの教えてくれた通りにコーヒーメーカーに豆をセットすると豆を煎るいい香りが立ち込めた。
「純くんはコーヒー、ブラックで飲めるの?」
「ああ。友杏ちゃんは飲めないの?」
「ミルクを入れないとちょっと…」
「へぇ~そこは意外にお子様なんだな」
純くんはちょっと笑った。
「まだ未成年だし、どっちも子どもじゃない」
私は少し膨れた。
「それもそうだよな」
純くんが笑顔のまま私を見つめていたので朝から私はドキドキしたのだった。
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