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「ごちそうさま」
準備をしてる間に純くんが食べ終わった。全部さらえてくれた。
「今日も部活か?」おじさんが話し掛けた。
「ああ。行ってきます。友杏ちゃんご馳走様」
「は、はい」
「行ってらっしゃい」
おじさんの食事の準備が出来たので、私は玄関で純くんが来るのを待っていた。
「友杏ちゃん、どうした?」
純くんは私を見て驚いた。
「純くんを見送ろうと思って」
「マジ?下村さんみてえだな」
「お母さんが仕事に行く時は見送ってたから」
「何か友杏ちゃん、きちんとしてるな」
「そんなことないよ」
「友杏ちゃん、俺、昼過ぎに帰って来るけど家にいる?」
靴を履きながら純くんは言った。
「い、いるよ、まだこの辺りもよくわからないし」
「それもそうか。じゃあ俺、近所案内してやろうか?」
「いいの?」
「ああ。じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
私は母にしていたように小さく手を振った。
純くんは少し照れくさそうな顔で出て行った。
キッチンに戻ると、おじさんは食べ終わっていて新聞の続きを読んでいた。
「友杏ちゃん、ご馳走様美味しかったよ」
「いえ」
私は食器を下げた。
「悪いね。洗うのは食洗機を使うといいよ」
「ありがとうございます。あの、これからも朝ご飯を作ってもいいですか?」
「毎朝はキツくないか?あれなら下村さんに前の日に用意してもらうよう言っておこうか?」
「いえ、元々朝食当番は私の係だったので大丈夫です」
「そうか。じゃ、お願いしようかな」
「はい」
食器の片付けの続きをしていると、ふと視線を感じた。
おじさんが私をじっと見ていた。
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