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親子には身寄りがいなかったみたいで、お葬式は町内会で行うことになった。
駄菓子屋のおっちゃんも役員なので、一生懸命準備をしていた。
ボクは言った。
「おっちゃん、ボクもお葬式、出ていいかな。あの子、前に公園で会ったことがあるんだ」
「そうかそうか。親戚は誰も来ないみたいだし、涼介が来てくれたらあの子もきっと喜んでくれるさ」
ボクにできることは、お葬式に出ることくらいしかない。
公民館には、町内会の人や近所の人が何人かいるだけで、なんだか寂しいお葬式だった。
小学生はボクだけだった。
偉いね、ってたくさん言われたけど、ボクが本当に偉かったら、こんなことは起こらなかったはず。
ボクのお父さんも町内会の役員だったので、頼んで火葬場にも連れて行ってもらった。
あの子の棺を見た。
とっても小さい棺だった。
あの子はこの中に入っていて、もう生きていない。
そう考えると、涙が出てきた。
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