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捨てられた少女
【妃凪side】
私は未巴妃凪(みともえひなぎ)。
お母さんと2人暮らしだけど、寂しさなんて感じないくらい幸せだった。
「妃凪」
お母さんの私を呼ぶ声がいつもより冷たく聞こえた気がする。
「お母さん?」
何だか嫌な予感がした。
どうしてだろう……?
お母さんの声色がいつもと違うからかな……
「ごめんけど、もうあんた要らないわ」
何を言われたか一瞬分からなかった。
「えっ、要らないって……」
「その言葉の通りよ」
どういうことかと聞こうとしたけど、お母さんに遮られてしまった。
言葉通りって……
「あんたはもう用済みよ。何の役にも立たなかったわ。公彦さんを手に入れるためにあんたを産んだのに、公彦さんは私を選んでくれなかった。挙げ句に別の女と結婚するだなんて」
憎々しげにそう言い放つお母さん。
用済み……
私、捨てられるんだ……
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