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ショックすぎて言葉が出てこない。
「もう出ていってちょうだい。公彦さんを繋ぎ止められなかったあんたなんか要らないわ」
「うん、分かった。ちゃんと出ていく、から。せめて荷物だけでも持っていきたいんだけど……」
「あぁ、それは好きにしなさい」
何とかそれだけ答えると、お母さんは興味を無くしたように背を向けた。
まだ気持ちの整理もできないまま、荷物を要るものと要らないものに分ける。
不思議と涙は出てこない。
今はまだ混乱してるからかな……
「早くしてくれる?」
「ごめんなさい。でも、少し待って。もうすぐだから」
扉の前からお母さんの声が急かしてきた。
そんなに早く出ていってほしいんだ……
そう思ったら、悲しくなった。
急いで、荷物の整理を終える。
要るものだけを鞄に詰めて、部屋から出るとお母さんの姿はなかった。
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