捨てられた少女

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リビングにいるのかな…… リビングの中に入る勇気はなかったから、扉の前に立って。 「お母さん、今まで育ててくれてありがとう。じゃあ、もう行くね」 「……」 育ててくれたお母さんへの感謝を述べてから、家を出た。 お母さんは何も返してくれなかったけど…… 家を出た途端、一気に涙が溢れてきた。 ポロポロと涙を流しながら歩く私を周りの人はヒソヒソと何かを言っていた。 傍から見たら、今の私は滑稽に見えるんだろうな…… これからどうすればいいんだろう……? ぼんやり考えながら歩いていると、いつの間にか知らない場所まで来ていた。 ここ、一体どこ……? 無意識に知らない場所に来ていた自分が恐ろしくなる。 「ぐっ……」 「かはっ……」 その時、どこからか誰かの呻き声が聞こえてきた。
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