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告白
「朱子に選ばれたの、何するんだろって、大人が言うんだよ。君を水の中に入れて殺すって、心底怖かった。逆らえなかった。狂ってるよ。世の中、でも、まだ死にたく無かったなぁ。本当はね、自殺とかしようかなとか思ってたんだよ。でも、自殺するなら殺された方がマシだった。
自殺するには心残りがあったから。」
「それが、僕?」
「正解」
「何だよ、本当に、なんで、生きてないんだよ」
「しょうがなかったんだって、断っても殺される、承諾しても殺される。運がなかったんだよ。それだけ、」
その言葉を聞き流しつつ、僕は涙を流していた。
「ねぇ、」
不意に恵留に話しかけられた。
「なに?」
僕は頑張って平然を保つように頑張った。
「7月14日」
彼女はそう言った
「7月14日、その日だけ、私は外、いや、この世界に、来れるの、」
僕は平然を保つのにいっぱいいっぱいだった。
「だから、また来て、また話そっ、」
僕は、涙を流してしまった。
「泣かないでよ、みっともない、移っちゃったらどうするのよ」
彼女の声も少し潤んでいた。
「だ、」
振り絞った声だった
「なに?」
「大好き、好き、
好きです。」
自分勝手なところも、ちょっとやんちゃなところも、本当は優しいところも、正義感が強いところも、全部
「大好きです。」
彼女は潤んだ瞳で潤んだ声で
「私だって、臆病で、寂しがり屋で、優しくて、めんどくさがり屋で、本当は友達思いな、春夏が、大好き。」
どんな関係でもいいから
「どんな関係でもいいなら」
「「付き合ってください。」」
そうして、終わったはずの恋を、僕達は巻き戻した。
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