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僕は己に視える数字の意味がわからなくなった。
ヒロシのように助けたとしても、感謝はされないんだと思った。
逆に、失望されるかもしれない。
誰かの上に数字が見えたら、無視した。
けれど、その人が亡くなってしまったことを知ると、
とてつもない罪悪感と自責の念が襲ってくる。
そのうち、前髪を伸ばして、下を向いて生活するようになった。
息がしやすかった。
楽だった。
あの数字の檻から一時釈放されたような気分になった。
四秒見つめてなければ、何も知らないでいれる。
次第に、目を見て話すのも、人前で発表するのも億劫になって、
地味で暗い僕が完成した。
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