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今回の兆はいつもの兆とは違って、腕時計がお気に入りだった。
いつもならゲームなんだけどなぁと思いつつ、ちょっと高めの腕時計を購入した。
兆は喜んでくれるだろう。
笑顔を想像するだけで、心が弾む。
いつものファストフード店。
他愛ないことをダラダラと話す。
それでも、兆はちゃんと聞いて相槌を返してくれる。
話が終わった時、珍しく兆が口を開いた。
「明日、君が死ぬんだって」
ワナワナと震えている。
俺は、そっか、って思ってしまった。
『死』んでも、戻れるから。
『死』はゲームのコンティニューと同じだ。
それぐらい軽いものに見えていた。
でも、せっかく買った腕時計だけは渡したい。
色の無い返事を返したけど、
明日は生き抜いてやるという気持ちだった。
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