1人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
消防車の音をイヤというほど覚えている。
隣でヒロシが泣きじゃくっていた。
そりゃあ、火の中にいたら怖いもんなと思った。
けど、今考えれば分かる。
ヒロシは飼い犬の安否が不安で泣いていたんだ。
ヒロシの両親からはたくさんの感謝の言葉をもらった。
それに僕は嬉しくなった。
正義のヒーローになれたと思った。
けど、ヒロシは違った。
両親と一緒に感謝の礼を伝えに来てくれた時、
僕の方を指さして、
「お前のせいだ」
と、言い放った。
意味がわからなかった。
僕はヒロシを助けたのに、なぜ責められる?
正しいことをしたのに、なぜ文句を言われる?
ヒロシの両親は急いでヒロシのその行動を止めた。
ヒロシはずっと大声で、おまえのせいだ!と叫び続けていた。
ヒロシにはバツ印があった。
最初のコメントを投稿しよう!