Before -以前-

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消防車の音をイヤというほど覚えている。 隣でヒロシが泣きじゃくっていた。 そりゃあ、火の中にいたら怖いもんなと思った。 けど、今考えれば分かる。 ヒロシは飼い犬の安否が不安で泣いていたんだ。 ヒロシの両親からはたくさんの感謝の言葉をもらった。 それに僕は嬉しくなった。 正義のヒーローになれたと思った。 けど、ヒロシは違った。 両親と一緒に感謝の礼を伝えに来てくれた時、 僕の方を指さして、 「お前のせいだ」 と、言い放った。 意味がわからなかった。 僕はヒロシを助けたのに、なぜ責められる? 正しいことをしたのに、なぜ文句を言われる? ヒロシの両親は急いでヒロシのその行動を止めた。 ヒロシはずっと大声で、おまえのせいだ!と叫び続けていた。 ヒロシにはバツ印があった。
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