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ああ、そういう手術をしていろいろな手順を踏んだのか、と思うと、自分の発言がどれだけソノちゃんを傷つけてきたのだろう、と胸が痛んだ。
女の子らしい爪のかたち。かわいくするから、爪を貸して――そんなもの、ソノちゃんはちっとも望んでいなかった。
「だって知らなかったから」で流すこともできるかもしれない。でも、なにも知らずに、なにも気づかずにいたという事実は、私をたまらなく悔しくさせた。
「どうしたんですか、あや先輩」
黙り込んでしまった私に、ソノちゃんが尋ねた。
「じつはね……。私、ずっと勘違いしてたの。ソノちゃんがシゲのこと、好きなのかなって」
「えっ、なんですかそれ! やめてください、あり得ませんから!」
ソノちゃんが大きな口で笑い、照明に照らされた髪は煌々と輝いた。
ソノちゃんの彼女は「いい歳してどこかの輩みたいな金髪はやめて欲しいし、小麦色の肌もピアスも好きじゃない! 素材を殺してる!」とその姿に不満らしい。それでも、「ずっとなりたかった姿になれたんです」とソノちゃんは照れくさそうに言った。
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