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それからというもの、彼が私にノートの写しを頼むことは、もうなくなってしまいました。
彼は以前とは打って変わって、今や自分で予習をこなしており、そのことに私は少し寂しさを覚えました。
もうじき、テスト週間が控えていました。そしてテストが終わってしまえば、席替えが控えていました。
*
*
人を好きになってはいけない。深く関わってはいけない。私はわかっていました。
ただ、じっと外の風景を眺める彼の孤独がいかに辛いかということも同じくらいにわかっていました。だからこそ私は彼に言いました。
「川上、もし忙しかったら言って、ノート見せてあげる」
すると彼は
「そうか。じゃあ現代文のノート見せてくれねぇか?俺、途中で寝ちゃっててさ」とはにかんだ笑顔を浮かべながら言いました。そこには尻尾を振る犬の姿が重なって見えました。無邪気な彼が私を待っていました。
その時、何かよくわからないものが身体中を巡りました。その何かは血液によって身体全体を巡り、私を満たしました。
人を好きなってはいけない。私は身に染みてわかっていました。それとは裏腹に彼の無邪気な子供のような笑顔は私を掴んで離しませんでした。
彼の笑顔が見たい。ふいにそう思ってしまいました。
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