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私は小学校で3人、中学校で2人の、親友ないし好きな人を失いました。 私が愛せば、その愛した人は消えてしまいました。 そして私以外、誰もその人の記憶がありませんでした。さらには、消えた人のメッセージやその他何もかもが、まるで世界の秩序を守るためだと言わんばかりに、消えていました。 私はときには鏡の世界に迷い込んだような気がして、またときには宇宙を漂う小さな石になったような気がしました。 私は世界の書き換えに取り残された阿保な神様です。人が消える。しかしそれはこの世界で最も大切な人。私は何がしたいのかわからない神様です。 幸か不幸か家族は消えませんでした。荒れ狂う暴風雨の中、私は唯一傘を持つことを許されました。それはとても心強いものでした。 しかし、傘だけです。私は根本のこの天気を変えることができませんから、私はいつも傘を広げ、気を張っていなければなりません。 そして、ときに横雨は傘のバリアをかわし、私の頬に雨を降らせます。 ねえ本当の神様、何でこんなことをするの、と私は問いかけました。いっそ家族が消せたら、私という存在も矛盾のために消えるのに。 例え家族が消えても、私ごと葬り去ってくれるならそれでもいいと私は思いました。 もちろん私は家族を愛していました。だから家族が消えるのは、ーみなさんと同じようにー身体中が引き裂かれるほど耐え難いことです。しかしそう望んでしまうのは、それ以上に生きていくことが苦しかったからです。 消えたいと思いました。死にたいと思いました。 しかし、神様は聞いてくれませんでした。 今もなお黒いベールが私の全身を覆っています。そして誰もこのベールは剥がせません。 もがけども、もがけども漆黒のベールは柔らかく私にまとわりつきます。
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