走る

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走る

「やばい! 遅刻だ! 遅刻!」  俺は今、走っている。学校に向かって。  いつもスマホを目覚まし時計として使っているのだが、今日はつい二度寝してしまった。おかげで、このざまだ。 「おはよ!」  後ろから女の子の声がした。聞きなれた声だ。  振り向くと、やはり彼女だった。俺と同じく焦っているのか、それが顔に出ている。 「お前も遅刻しそうなのか」 「ええ」  俺と同じように走りながら答える彼女。  ん? 同じ……?  彼女の方を見てみる。  変わった走り方をしている。  前かがみの上半身は、微動だにしない。  その代わり、足が異様なまでにせわしなく動いており、スカートから伸びた足の像がぶれて見えるほどだ。 「なんだよ、その走り方は」 「漫画やアニメに出てくる走り方。ほら、超人的な力を持ったキャラって、だいたいこんな走り方するでしょ。だから、同じような走り方をすれば速く走れるんじゃないかと思って、真似してみたの」 「だからといって、そんな簡単にできるのかよ」 「案外できるのよ。あんたもやってみなさいよ」  疑問に思いながらも、彼女の言う通りにしてみる。前かがみになり、上半身を動かさない代わりに、足をひたすら速く動かす。 「おっ! できた!」 「でしょ。この調子で急ぎましょう!」 「そうだな」  このまま俺達は学校に向かう。確かにこの走り方は速い。車を追い越せるほどだ。  しかし……
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