成り代わり

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 彼女といつものやり取り。  いつも緊張する。心が落ち着かない、疲労が余計に重なる。  毎回遅くまで残業して、落ち着くはずの家でも、彼女のせいでくつろげない。  もうこんな人生嫌だ。終わりたい。  ……そんな彼の気持ちが、自分に伝わってくる。  そして、困惑も。今はそっちの方が大きいようだ。  チラッと後ろを見る。  そこには彼がいた。  扉を少し開け、様子を伺っている。    そして驚いた様子で、目を見開い自分を見ている。  無理はない。    当然だろう。  同じ姿の自分自身が、自分を偽って存在しているのだから。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!