成り代わり

3/4

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 自分は所謂ドッペルゲンガーだ。人間を適当に選んで姿をそっくりに変えて、成り代わり、人生を乗っ取る。そんな存在だ。     もう長い間、同じことを繰り返している。それこそ、数百年では足りないほど。    ちょうど成り代わった人間の一生を終えて暇になったので、今度は誰にしようと探していたのだ  そこで見つけたのが彼だ。  目は虚ろで、肩を落とし、とぼとぼと歩いている。もう夜も九時を回り、夜道を歩く姿は幽霊のように生気がない。  いかにも不幸で、人生を悲観している様子だ。  まさに自分好みの対象だ。    色々なモノを背負いすぎて疲れきっている人間に成り代わり、辛い人生を成り代わるのが、自分は大好きなのだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加