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幼いころから家族や親族と折り合いが悪く、若くして家を出て以来、何十年も音信不通だったそうだ。
そんな彼が、今や私の唯一の肉親だ。
叔父様は都内で小さな探偵事務所を営んでいる。
正直、あまり儲かってはいない。
それでも悠々自適な暮らしができているのは、私たちのもつ遺産のおかげだろう。
その点についてだけは、二人とも故人に感謝している。
叔父様は昨年まで、事務所とは別に、高尾に自宅を構えていた。
上京した私が、最初に住むことになった家だ。
私が気に入っていた、小さいけれど可愛らしいその家は、残念なことに今はもうない。
叔父様は、五年ほど前に、妻を亡くしている。
以来、その家で一人で暮らしていたわけだが、突然私を引き取ることになった。
家に誰かがいる、という現実が、愛する妻がいないという実感を呼び起こしたと、叔父様は私に告げた。
そしてついに昨年、思い出が多くて辛いからという理由で、高尾の家を手放してしまった。
その気持ちは理解出来かねたし、高尾の家が気に入っていたので残念だったが、私に発言権がないことは理解していた。
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