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好意 **
右肩を掴みながら、純を寝室に連れ込んだ智也。投げつけるように、ベッドの上に押し倒す。
「裸になれ」
智也が命じる。いつもと比べると、荒々しい口調になっていた。純は「わかった」と言うと、身にまとっているものを変化させる。
純は先程、健太をバラしたところだ。それも、文字通り。
そういう状況であっても、素直に命令に従うのか。智也は薄笑いする。寝室に連れ込み、裸にしている己を棚上げにして。
「ベッドの上で、四つん這いになれ」
再度命令する。高圧的で、冷ややかな目を純に向ける。純はこの命令も律儀に従った。
智也は背後に覆い被さると、指を肛門に挿入した。
「うぐっ」
純は呻き声を上げる。
「どうしてお前はこういう時だけ反応するんだ」
純の陰茎も反応を示していた。
「指突っ込まれて勃ってんじゃねぇよ」
純の陰茎を乱暴に掴み、擦った。智也の手の中で硬くなる。純は息を荒げながらも、なすがままになっている。
智也は肛門に挿入した指を、もっと深くまで押し込んだ。
「うあっ」
純が苦悶の声を上げる。
「あんなことしたってのに、何感じてんだよてめぇは……」
肛門に挿入した指を引き抜くと、ボトムスに手をかける。智也の股間は盛り上がっていた。
チャックを下ろしたあと、下着ごとボトムスを下ろす。陰茎が勢いよく飛び出してくる。
己の陰茎を純の肛門にあてがうと、一気に突き挿れた。
「ああっ」
純が声を上げながら仰け反る。まだ十分には解されていないためか、スムーズに入っていかない。しかし構うことなく腰を押し進める。純の尻と智也の太ももがぶつかり、乾いた音を立てた。
「ううっ」
純が呻く。智也は構わずに腰を振り続けた。解れてきたのか、スムーズに動くようになる。
「何感じてんだよ、この変態野郎が」
智也は罵り、腰を激しく動かした。
「あっ、あっ」
純の陰茎は萎えることなく勃起したままだ。次第に、智也の腰の動きに合わせて揺れだす。
「くそっ、くそっ」
智也は悪態をつきながら、突き上げる。その度に、純は悲鳴をあげた。陰茎が純の前立腺を擦り上げる度、その先端から透明な液体が垂れる。
「ああっ」
純は一際大きな声を上げる。智也は構わずに、さらに深く陰茎を突き刺した。
純は頭を振って快感を逃がそうとするが、それでも断続的に苦悶の声をあげている。
「もうイッたのか」
智也は嘲笑しながら言う。純は何も答えず、荒い呼吸を繰り返すだけだ。しかし肛門は智也の陰茎を締め付ける力を強めた。これにより、智也は限界に近づく。
智也は思った。好きなのは、あくまでも美咲だ。セックスもしているが、それは好意があっての事だ。
だが、純は違う。ズレた価値観に弾まない会話。何より、自分からは決して動こうとしない態度……。顔がいいのがせいぜいだ。
性格だけではない。純が持ち合わせている種々の能力――認識阻害に、異常な再生能力と痛覚遮断。何よりも、健太を爆発四散させたこと――。
純は化け物ではないか。人間でさえないのだ。これでは好意どころの話ではない。ただただ、おぞましい存在でしかないのだ。たとえ、いくら美しい顔を持っていたとしても。
健太は「純が好きだと言うなら、美咲と別れろ」と言う。
むしろ、純のことが好きであれば、どれ程よかったか。それならば、己が今やっているピストン運動にも説明がつくというのに。
智也はラストスパートだといわんばかりに、腰を振る速度を上げた。
「俺が好きなのは美咲なんだよ! お前じゃねぇ!」
絶叫したその瞬間、射精した。純の中に勢い良く精液が放たれる。
一呼吸置いたあと、智也は陰茎を引き抜く。純は四つん這いになったままだ。肛門から、精液が出てくる。
シーツの方を見ると、透明なものと白濁のシミができていた。
「本当にイってやがったのか。ケツでイってんじゃねぇよ。つか、いつまで四つん這いになってんだ。もう終わったからこっち向け」
純は「わかった」と言いながら、智也の方に向き直る。純の顔は無表情だ。まるで、何事もなかったかのようだ。
「いつものすまし顔か。さっきまでアンアン言ってたくせによ」
今回純を後ろから犯したのは、顔を見たくなかったからだ。健太を殺したあとだというのに、快感に歪むその顔を。
「はぁ……」
智也は嘆息した。純を犯したとて、事態は変わらないからだ。シーツを汚された分、余計な仕事が増えたともいえる。
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