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どれだけ眠ったのだろう。
頭がぼーっとして 身体もだるいが、熱は 少し下がったように感じた。
明け方なのだろうか。 薄明るい室内の中、私が横たわっているベッドのすぐ近くに 椅子に座ったまま眠っている啓介さんがいた。
ずっと居てくれたんだ……。
私は ベッドから降りて そろそろと啓介さんに近づく。
腕を組んだまま眠る姿も かっこよかった。
シャツの上からも 筋肉質なのがわかる。
やっぱり まつ毛ながい…。
前髪が崩れて 額にかかっている。
私は その前髪をなおそうとゆっくり指をのばした。
そのとき
きゃっ!
いきなり手首を啓介さんにつかまれる。
「寝込みを襲うのか?」
私の好きな声が部屋に響く。
面白そうに啓介さんは目を細めた。
てっきり眠っていると思っていたので 驚き過ぎた私は 顔を真っ赤にして、何も言えず ただ首を大きく横に振る。
あまりにも顔が近すぎて、腰が抜けたようにその場に座り込んでしまった。
「熱は…… マシみたいだな。」
おでこに手をあてて啓介さんは言う。
大きな手にドキドキして もっと顔が熱くなる。
「それにしても……。」
啓介さんは 私を一瞥して言う。
「もしかして、誘ってんの?」
えっ??あっ…、、、きゃっ!
私は はっとして自分の姿を見下ろすと、Tシャツ一枚姿で 太ももが顕になっている。
急いでTシャツの裾を伸ばして隠そうとするが、隠れるはずもない。
私が慌てているのを完全スルーして
「昨日も 行かないで… とか言うし。」
啓介さんは 今まで見せたことのない、意地悪そうな楽しそうな顔をした。
う……。
私は 何も言い返せないまま 固まっていた。
そんな私の様子を眺めて ふっと笑い
「…ま、襲いたくなる前に帰るわ。
今日は ゆっくり休むこと。」
そう言って私の頭を ぽんぽん、と軽く叩くと 悪い顔で微笑みながら 帰って行った。
ドアのパタンと閉まる音と同時に 私もその場に力尽きて横たわってしまった。
私ったら 昨日は なんてことを……!
そう思ってももう遅い。
それに… こんな姿を見られるなんて。
身体が熱くなる。
別の意味で熱が出そうだった。
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