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突然ふすまが開いて、
「桃! お前が行くべし!」
桃子の祖母が、お盆にお茶を乗せ、立っていた。
「婆ちゃん、今の話聞いてたな。まあ、いいけど」
お茶を菊子に進めながら、祖母が語る。
「今の小鬼さんの話、婆ちゃんも小さい時に聞いたことがある。本当の事じゃろう。桃よ、今小鬼さんは助けを乞うておるのじゃ。義を見てせざるは勇無きなりじゃ。吉備津家の者には桃太郎大人の血が流れておる。正義を尊び、弱きを助け悪を懲らしめる、仁の心じゃ。そして、今まで言わなんだが、桃、お前には桃太郎大人の秘力がある」
「うわ。婆ちゃん、いきなり語ったけど、僕にできるかなあ。婆ちゃんは、僕の事心配じゃないの?」
祖母と菊子の顔を見ながら、腕を組む桃子。
「何を言っとるか! 婆ちゃんは、桃を信じとる。桃は何かを成し遂げることのできる子だと」
目を潤ませて、その言葉にうなずく菊子。
「そっか、わかった。やるよ! 虚無大師とか桃太郎の秘力とかはよくわからないけど、とにかく財宝を奪われないようにして、鬼族を助ければいいんだね」
「ありがとうございます! よろしくお願いいたします」
頭の角を畳にこすりつけて礼を言う菊子だった。
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