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3 桜森左六女の『スーパーモンキー』
小鬼菊子が帰った後、桃子は応接間で寝転んで考えた。
何をどうすればいい?
引き受けたのは、
『鬼ヶ島の財宝を守る事と虚無大師を退治すること』
と、メモ帳に書く桃子。
「わかんない。どーすればいいのか、わかんないや」
寝そべって手足をバタバタと振っていると、突然ふすまが開いて、
「仲間を探すべし!」
祖母だ。遠くを指さしている。桃子は、慌てて正座した。
「仲間……。友だち……。そうだ! 明日、左六女に相談してよう」
「善き哉!」
祖母は、深くうなずいた。
翌日の昼休み、桃子は1年3組の教室をのぞいて、友人の桜森左六女を探した。
左六女は、タブレット端末を真剣に見つめている。
「おーい。左六女ちゃーん」
桃子が窓際から呼んだが気づかない。
「ええい。まどろっこしい」
ずかずかと教室に入る桃子。左六女の背後からタブレット端末を見ると、漫画を読んでいた。恋愛ドロドロ物だ。
「桜森左六女さん!」
「わ!」
やたらスワイプして、漫画の画面を消した。
「はいはいはい。なんでしょう?」
左右に首を振る左六女。
「何、慌てているのさ」
「なあんだ、桃か。どうかしたの」
「左六女に、協力してほしいことがあって」
「何よ」
左六女の耳元に、桃子は口を寄せる。
「お宝さがし。鬼ヶ島の財宝だよ」
「こそばゆいって、息を吹きかけないでよ。何だって? お宝?」
漫画やアニメの冒険物が好きな左六女だ。絶対食いつくと思う桃子だった。
「それ、マジ? 鬼ヶ島って、女花島のこと?」
「そう。昨日うちのクラスに小鬼菊子って転校生がきたんだ。その子の情報だよ」
「小鬼? そりゃあ、また変わった名前だね。ひょっとして、鬼の子孫だったりして」
「左六女ってやっぱり賢いよ! ご明察のとおり!」
「何言ってんの。嘘でしょ」
「会ってみる? 小鬼菊子ちゃんに。ちゃんと角があるから」
「マジマジ? 会う会う。で、私は何を協力すればいいのよ」
ノートに予定を書き込む左六女。
「財宝ゲット計画の立案と、現場での助言だな。いわば参謀とか軍師とかみたいな役割をしてほしいんだ」
「わかった。その話乗った。このハイスペックコンピューター搭載のタブレット『スーパーモンキー』が活躍するよ!」
「じゃあ、放課後、僕の家で作戦会議だ」
「オッケイ!」
左六女はニッコリ笑って、親指を立てた。
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