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「ねぇどうしたの。悩みごとでもあるの?」 「ううん 何でもないよ。考え事してただけさ」 あの日以来僕はあなたと資産家の娘との結婚を天秤にかけずっと考えていた。 僕はあなたを愛してる。しかし結婚しなければ父をはじめ路頭に迷うことになる。いや結婚すれば潤沢な資金援助も手に入る。それだけじゃない。僕自身地域の名士としての地位まで約束される。でも…  頭の中がぐるぐるまわる。あなたは貧しい母子家庭だ。母親はパートで生計をたてている。  あなたと別れたほうがいいか?恋愛など一時のものだ。結婚は一生の事だ。どうしたら綺麗に別れられる?  あなたや母親が騒いだら結婚の話も壊れてしまうかもしれない。  いっそ殺してしまおうか。跡形もなく。あなたは他人だ…  悪魔が囁く。  毎日いや片時も忘れられなく自問自答する日々が続く。とうとう悪魔の囁きに負け僕は実行に移してしまった。  新月の夜の海岸、風が吹いて波が高かった。僕からあなたを消してしまおう。僕にはあなたを消してしまう理由がある。潮風が僕をいざなう。海を目指した。新月の光が僕を照らした。  朝がきた。 燦々と輝く光が部屋に差し込む。「おはよう。」寝ぼけて挨拶をする。返事はない。私は、あなたの写真を見る。私は泣きたい気持ちを抑えて 笑顔で彼に写真に挨拶する。  「愛してるよ。」いつも私に言ってくれたのにそれだけで私は幸せだったのに。  何故突然に私の前から消えてしまったの。誰に聞いても知らない。あなたのお父さん達も心配してる。 ねぇ、何処に行ったの。帰って来るまでこのアパートであなたを待っているね。
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