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1人と1匹は地下街へと降りていく。
其処には小さいが街並みが存在し、子供達は楽しそうに遊んでいる。
その地下街にはシェルターと呼ばれる部屋が幾つも存在する。
閉鎖的な息苦しい様な空間が漂うが、サンタマリアとハリネズミは部屋に向かう。
サンタマリアのシェルターは地下街の更に奥、住人達すら寄り付かない場所に、箱庭型のシェルターが在る。
サンタマリアはドアを開けるとハリネズミと入り、そのまま寝室へ行くと着替えを取り、寝室を出る。
「お風呂行って来るから、待ってて」
そう言うと、ドアを出口とは反対側の通路を歩き、浴場に行ってしまう。
髪と体を洗った後、湯船に浸かったサンタマリアは、茫然と天を仰ぐ。
霧の様に真っ白な湯気に覆われた浴場は、少し幻想的な雰囲気も有り、ゆったりしている。
お湯の温もりで、ほんのりと頬が赤くなり、湯船から上がる。
この地下街では水は貴重で、使うのは制限されているからか、住人達も滅多に風呂は入らない。
「そろそろ上がろう」
脱衣場で体を拭いて、持って来たスウェットに着替えると、先程まで着ていた服を紙袋に入れて浴場を出て行く。
〝あ、マリア。〟
待ちわびたハリネズミが駆け寄り、呼び掛ける。
〝今日はいちご食べたい。〟
ソファの端に紙袋を置いてキッチンへ。
冷蔵庫からいちごを取り出し、軽く水洗いしてヘタを取り、更に盛り付けてソファの側に置く。
パクパクと、いちごを食べているハリネズミを見て、サンタマリアは寝室に入って行ってしまう。
そのままベッドで眠り、静かな時間が流れる。
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