2人が本棚に入れています
本棚に追加
「サンタマリアさん、居る?
食事持って来たんだけど、食べるかな?」
〝マリアはご飯…食べないよ?
食べても戻すからって。〟
「拒食症?」
〝きょ、しょ?
分からないけど、気持ち悪くなるんだって。〟
「そっか、サラダ作ったから、って思ったんだけど」
ハリネズミは友翔のジーンズの裾を引っ張る。
「何?どうした、ハリちゃん」
〝マリアに布団、掛けてあげて。〟
「布団?」
〝マリア、掛け布団の上に寝ちゃってるの。
ぼくじゃ動かせないから。〟
「分かった。
入らせてもらうね」
そぉ~っと、ドアを開けて、中に入る。
「失礼しますよ……」
室内は真っ暗で、ベッドの周りにはスケッチブックの紙が散乱している。
「何?絵が描いてある……」
しかしその絵には、友翔が想像する様な、明るい絵ではなく……。
鬱蒼として、殺伐とした暗い絵が描かれていて、中には残酷で極悪非道な絵まで有る。
「なっ!?Σ見ているだけで、鬱々としそうな恐い絵……サンタマリアさんが絵が得意なのは知ってたけど……こんな絵を描くなんて……」
〝マリア、外から帰ると、いつもそういう絵を描くんだ。
ぼくは恐くて見れないけど。〟
紙を戻してサンタマリアの側へ。
右側を向いて寝ているサンタマリアの髪が分かれ、いつもは隠れている顔の左側が見えている。
「サンタマリアさんって、顔立ち綺麗だな……イケメンさん」
視線を足元に向けると、ハリネズミが言った様に、掛け布団を下敷きにしている。
最初のコメントを投稿しよう!