ノアール

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「サンタマリアさん、居る? 食事持って来たんだけど、食べるかな?」 〝マリアはご飯…食べないよ? 食べても戻すからって。〟 「拒食症?」 〝きょ、しょ? 分からないけど、気持ち悪くなるんだって。〟 「そっか、サラダ作ったから、って思ったんだけど」 ハリネズミは友翔のジーンズの裾を引っ張る。 「何?どうした、ハリちゃん」 〝マリアに布団、掛けてあげて。〟 「布団?」 〝マリア、掛け布団の上に寝ちゃってるの。 ぼくじゃ動かせないから。〟 「分かった。 入らせてもらうね」 そぉ~っと、ドアを開けて、中に入る。 「失礼しますよ……」 室内は真っ暗で、ベッドの周りにはスケッチブックの紙が散乱している。 「何?絵が描いてある……」 しかしその絵には、友翔が想像する様な、明るい絵ではなく……。 鬱蒼として、殺伐とした暗い絵が描かれていて、中には残酷で極悪非道な絵まで有る。 「なっ!?Σ見ているだけで、鬱々としそうな恐い絵……サンタマリアさんが絵が得意なのは知ってたけど……こんな絵を描くなんて……」 〝マリア、外から帰ると、いつもそういう絵を描くんだ。 ぼくは恐くて見れないけど。〟 紙を戻してサンタマリアの側へ。 右側を向いて寝ているサンタマリアの髪が分かれ、いつもは隠れている顔の左側が見えている。 「サンタマリアさんって、顔立ち綺麗だな……イケメンさん」 視線を足元に向けると、ハリネズミが言った様に、掛け布団を下敷きにしている。
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