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VS勇者・3ラウンド目⑦
刺激臭のする気付の薬草を、ベッドに寝るキーの鼻もとに。
薬草を遠ざけると咳きこみ、息が整ってきてから、やおら俺のほうに顔を向けた。
「勇者、さま・・・?」
「さま」はやめてほしいと云ったのに。
眉をしかめたなら、キーのほうこそ眉間にしわを寄せ、頭上に視線を。
縛られた両手が、ヘッドボードの柱にくくられているのに気づいたのだろう。
ろうそくに照らされた顔を青ざめて「あ、あの・・・」と声を震わせる。
「俺、なにか、勇者さまの、その、怒りに、触れるようなこと・・・」
椅子から立ちあがり、ベッドに上がって、キーに覆いかぶさるよう四つん這いに。
怯えるさまを見下ろしながら「覚えがない?」とにっこり。
「昼間、股間の紐のことで盛りあがったでしょ?
俺が村にいたころは、ズボンの前が開いていると、そこに手を突っこむ遊びが流行ってたという話をしてさ。
その癖があったから、キーが開けっ放しだったのに我慢するのが大変だったって。
聞いて一瞬、ぎくりとしなかった?
記憶がない芝居をしているなら、そりゃあ、そんな反応するだろうな。
俺はよくキーのチンコ、しゃぶってたから」
「しゃぶ・・・いくらなんでも、ワルイ冗談ですよ・・・!」と青白い顔の頬にやや赤みが。
「あのときは、冗談と分かっていても、恥ずかしかったんです。
勇者さまの手が、だって、俺の、ってつい想像して・・・反応したら、どうしようって・・・」
目を伏せて、ぼそぼそするのは初心なようで、だまされるわけにいかない。
歯噛みしつつ「お願いだよ、キー」としおらしく胸に頭を垂れる。
「・・・たしかに俺のやり方は、まちがっていた。
衝動のまま、独りよがりに体をいいように弄んで、でも、キーは旅や仲間のことや、俺の立場を考えて、我慢していたのかもしれない。
といっても、限界があって、拒絶したくなったとしても当然だ。
それならそうと、云ってもらえれば、俺は身を引くから。
面と向かって云うの恐れて、こんな茶番をしているなら、やめてくれないか。
キーがどんな答えをだそうと、責めたり、諦めわるく泣きすがらないよ。だから、どうか・・・」
誠心誠意こめてのお願いに、長い沈黙。
結局「ごめんなさい、勇者さま・・・俺」と応じたのに「『さま』はやめろって!」とかっとして、服越しに胸の突起をかじった。
「いっ・・・!」と呻く間もなく「ひ」と悲鳴。
俺の固いのを、キーに押しつけてのこと。
たしかに記憶と睡眠の問題を抱えていたときは、病的にキーに欲情した。
今は、そのときほど肉欲に惑わされないとはいえ、下半身は年並に元気だ。
衝動的に胸の突起に歯を立てたものの、すぐに労わるように舐めまわし、しゃぶりつく。
股間に固いのを擦りつけながら。
「はう、勇、者さ、ま・・・!あ、あ、あう、やあ、だ、だめ、で、す、はあん、勇者、さまあ・・・!」
目をつむって首を振りながら、早くも突起も股間も張りつめて。
「やだやだしても、体は嘘吐けないな」と嘲りつつ、「勇者さまあ」と怯えて泣きながら喘ぐのに、高ぶってしまう。
熱を上げるまま、もう片方の突起に舌を這わせ、腰の突きあげを早めれば、下半身からも水音が。
やだやだあんあん息を切らすばかりのキーは、もう足をばたばたできず。
一旦、起きあがって体の位置をずらし、膝の裏をつかみ、足を広げさせる。
キーがまとっているのは丈が長いワンピースのような服。
スカート部分にもぐりこみ、口で下着をずらすと、剥きだしのを舌でべろり。
滴る先走りをしきりに舐めると「ああ、勇、者さまあ!だめえ、汚いのお・・・!」と一段と甲高く。
かまわず、ぺろぺろしつくして、顔を上げるついでに服をめくりあげた。
濡れた股間を丸見えにさせたまま、ズボンのポケットから短い紐を。
そそり立つ根元をきつく縛りつけて。
「ああう、そんな・・・」と腰をひくつかせるのを、焦らすように輪郭を舌先でなぞってから、先っぽをえぐって、ぐちゃぐちゃと。
「や、やあ、あ、ああ、ああん!ゆ、う、しゃ、く、う、うああ!イ、イけ、ない、のお!勇、者、さまあ!」
片手で下のほうを揉みこみ、片手で尻の奥の入り口を撫でる。
こうすると、射精できなければ、空イキもできない、拷問のように。
いや、未経験でさほど知識もない俺が、どうして高等テクニックを使いこなしている?
ふと浮かんだ疑問を、かき消して、股間から口を放して一息。
濡れた口元を舐め、髪を掻きあげなら「どうして萎えないのキー?」と冷ややかに見おろす。
「俺にしゃぶられていた記憶が、一切ないなら、萎えるものでしょ。
夜に攫われて見知らぬ部屋に閉じこめられ縛られて犯されたら、たとえ俺が相手でも、ただただ怖いはずだ。
でも、ほら、もう、だらしなく、お漏らししっぱなしで、腰を揺らして一丁前にオネダリもしている。
勇者の俺をまえにして、よくもまあ、こうも恥知らずに、あられもなく淫らに乱れるのは、記憶のある証拠じゃないの?」
「それとも男に強姦されるのがスキなのかな?」と鼻で笑うと、真っ赤な顔を引きつらせてぼろぼろと泣くキー。
案外「勇者さま、おやめください」と懇願してこないで、涙目で睨みつけ「勇者さまこそ」と。
「記憶を失くした、俺は・・・前の俺とは、別ものと、考えて、いるんじゃ・・・?
勇者さまを、敬い、慕う民衆と、代わり映え、しない、って・・・。
うう、ひっく・・・俺に、記憶が、ないのは、本当です。
前とは、別ものに、なった・・・民衆の一人で、しかないような、俺に、どうして、欲情、するんですか。
もともと、俺の、人格なんて、どうでも、よかった・・・。
体だけが、目当て、で、相手を、させるのに、都合、よかった、からじゃ・・・」
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